地震や台風で停電・断水。
ただでさえ大変な状況なのに、突然子どもが、
「気持ち悪い……」
と言って嘔吐してしまったら。
2児のママとして考えると、これはかなり焦る状況です。
普段ならタオルを使って、汚れた服や床を洗って、最後に手をしっかり洗う。
でも断水中なら、蛇口をひねっても水が出ません。
停電していれば洗濯機も使えないかもしれません。
さらに感染性胃腸炎などが原因だった場合、処理方法によっては家族に感染を広げてしまう心配もあります。
今回は商品紹介ではなく、災害時にも役立つ「嘔吐物処理セット」の作り方や、断水中の処理で気をつけたいポイントをまとめます。
災害時でも子どもの嘔吐は突然起こる
防災備蓄というと、
- 水
- 非常食
- 非常用トイレ
- 懐中電灯
- モバイルバッテリー
などを思い浮かべますよね。
もちろん、どれも大切です。
でも子どもがいる家庭では、もう一つ想定しておきたいことがあります。
体調不良です。
避難生活の最中でも、胃腸炎などになる可能性はあります。
また、嘔吐の原因は感染症だけとは限りません。
だからこそ「原因を決めつける」のではなく、感染性の可能性も考えて、できるだけ安全に処理できる準備をしておきたいところです。
断水すると「吐いた後の片付け」が一気に難しくなる
普段なら嘔吐物を処理したあと、床や衣類をきれいにして手を洗えます。
ところが断水すると、
- 床を十分に水拭きできない
- 汚れた衣類をすぐ洗えない
- 手洗いに使える水が限られる
- 洗面所を十分に洗えない
- トイレも使えない可能性がある
など、普段とはまったく状況が変わります。
しかも断水中の飲料水はとても貴重です。
家族が飲む水や調理に使う水を、掃除だけで大量に使うわけにもいきません。
だからこそ、「水が出なくても最低限の処理ができる用品」を一つにまとめておくと安心です。
まず備えたい「嘔吐物処理セット」
わが家なら、防災用品とは別に小さな箱や袋を用意して、次の物をまとめておきます。
- 使い捨て手袋
- 使い捨てマスク
- 使い捨てエプロン
- ペーパータオル
- ビニール袋
- 大きめのゴミ袋
- 次亜塩素酸ナトリウムを含む家庭用塩素系漂白剤
- 拭き取りに使う容器など
- 必要に応じて使い捨てできる布や紙類
「吐いてから家中を探す」のではなく、全部一緒にしておくのがポイントです。
厚生労働省の資料でも、嘔吐物処理用品をセットとして、いつでも使用できるよう準備しておくことが勧められています。
子どもが吐いたら、まず周りの人を離す
床に嘔吐してしまった場合、最初にしたいのが、ほかの家族を近づけないことです。
特に小さなきょうだいがいると、
「どうしたの?」
と近寄ってしまうことがあります。
わが家も子どもが2人いるので、一人の対応をしている間にもう一人が近づいてしまう場面は十分考えられます。
まず子ども本人の安全と状態を確認し、ほかの家族が汚染した場所を踏んだり触ったりしないようにします。
処理するときは手袋・マスク・エプロンを
感染性胃腸炎などの可能性を考える場合、素手で処理するのは避けます。
厚生労働省では、嘔吐物などを処理する際、使い捨ての
- 手袋
- マスク
- ガウンやエプロン
などを着用する方法を案内しています。
「防災用品なのにエプロン?」と思うかもしれません。
でも、断水中は服が汚れてもすぐ洗濯できません。
感染対策だけでなく、衣類への付着を減らす意味でも使い捨てエプロンは役立ちます。
嘔吐物は「静かに」拭き取る
ここは大事なポイントです。
慌ててゴシゴシこすったり、勢いよく掃除したりするのではなく、ペーパータオルなどを使って静かに拭き取ります。
厚生労働省は、汚物中のウイルスが飛び散らないように処理することを案内しています。
・素手で触らない
・勢いよく拭かない
・周囲に広げない
・使ったペーパー類は再利用しない
・処理後のゴミは袋に密閉する
消毒液をスプレーで吹きかけるのは避ける
「だったら消毒液をシュッシュッと吹きかければいいのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、嘔吐物の処理では注意が必要です。
厚生労働省の資料では、消毒液をスプレーで噴霧すると病原体を舞い上げ、感染の機会を増やす可能性があるため、噴霧しないよう案内されています。
嘔吐物に向かって消毒液を勢いよくスプレーするのは避けましょう。
ノロウイルスを想定した消毒は「塩素系」が基本
感染性胃腸炎、とくにノロウイルスを想定する場合、アルコールだけに頼らないことも大切です。
厚生労働省は、ノロウイルスを失活化する方法として次亜塩素酸ナトリウムなどによる処理を案内しています。
家庭用の次亜塩素酸ナトリウムを含む塩素系漂白剤で代用できる場合があります。
ただし、製品によって濃度が違います。
必ず製品表示や使用上の注意を確認してください。
また、次亜塩素酸ナトリウムには漂白作用や金属腐食性があります。
素材によっては使用できない場合があるため、何にでも使える消毒液ではありません。
塩素系漂白剤は「原液を直接かける」のもNG
ここも防災備蓄をするときに覚えておきたいポイントです。
「濃い方が効きそう」
と考えて、嘔吐物へ家庭用塩素系漂白剤の原液を直接かけるのは危険です。
厚生労働省の資料では、嘔吐物など酸性のものに原液を直接かけると有毒ガスが発生することがあるため、使用上の注意をよく確認するよう示されています。
製品ごとの濃度・使用方法・注意事項を平常時に確認しておきましょう。
使ったペーパー・手袋などはビニール袋へ
嘔吐物を拭いたペーパータオルや、使用した手袋などをそのままゴミ箱へ入れるのは避けたいところです。
使用した物はビニール袋へ入れ、密閉して廃棄します。
災害時にはゴミ収集が止まる可能性もあります。
数日間、自宅でゴミを保管しなければならないケースも考えられます。
そのため、
- 小さめのビニール袋
- 大きめのゴミ袋
- ゴミを一時保管する場所
まで考えておくと安心です。
断水中だからこそ「使い捨て」が役立つ
普段なら雑巾を使って洗えば済みます。
でも断水中は、その雑巾を洗う水も必要になります。
感染性の嘔吐物だった場合、その後の管理にも注意が必要です。
そのため非常時の嘔吐物処理では、可能な範囲で、
- ペーパータオル
- 使い捨て手袋
- 使い捨てエプロン
- ビニール袋
など、処理後に密閉して廃棄できる物を備えておくと、水の使用量を減らせます。
汚れた服や寝具はどうする?
子どもの嘔吐で困るのが、服や布団まで汚れてしまった場合です。
停電していれば洗濯機が使えず、断水していればそもそも洗濯できません。
その場合、無理に限られた飲料水を大量に使って洗うよりも、まず汚れた物をほかの衣類や生活用品から分けることを考えます。
一時的に隔離できるよう、大きめの袋を備えておくと便利です。
「今すぐ洗えない物をどこに置く?」まで考えておくのが、断水対策です。
換気も忘れずに
厚生労働省によると、ノロウイルスは嘔吐物などが乾燥すると空中に漂い、それが口に入って感染することがあります。
そのため、速やかに処理し、処理後は周囲への飛散に注意しながら換気します。
停電中でも、建物や屋外の状況が安全で窓を開けられる場合には換気を行います。
ただし、台風や大雨、火災、外気の危険などがある場合には、窓を開けること自体が危険になることがあります。
災害時は屋外の安全も確認したうえで判断しましょう。
処理が終わったら手洗いが重要。でも断水なら?
嘔吐物の処理後は手洗いがとても重要です。
ところが、ここで断水問題が出てきます。
だからこそ家庭の飲料水とは別に、衛生管理に使う水についても考えておきたいところです。
ノロウイルス対策では、アルコール消毒だけに頼るのではなく、石けんと流水による手洗いで物理的にウイルスを落とすことが重要です。
断水対策では「飲む水」だけでなく、「衛生を守るための水」も必要になります。
非常用トイレの備蓄も一緒に確認
嘔吐と一緒に下痢の症状が出ることもあります。
そのとき断水でトイレまで使えなかったら、さらに大変です。
断水時は水が出ないだけでなく、排水設備の損傷などで水洗トイレを流せない場合があります。
そのため、子どもがいる家庭では非常用トイレも重要な備蓄です。
【BOS非常用トイレ100回分】4人家族なら何日分?2児ママ目線で防臭・断水対策を徹底レビュー
断水時に困りやすいトイレについて、4人家族で必要な回数や備え方を紹介しています。
停電しているなら夜間の処理も想定する
子どもが吐くのは昼間とは限りません。
むしろ寝ている途中で突然……ということもありますよね。
そのとき停電していたら、暗い中で嘔吐物を処理することになります。
嘔吐物がどこまで飛んでいるのか分からなければ、家族が踏んでしまう可能性もあります。
懐中電灯やランタンなどをすぐ取り出せる場所に置き、予備電池も確認しておきましょう。
「嘔吐用セット」は家族全員が分かる場所へ
これも2児のママ目線では大切だと思います。
子どもが吐いたとき、いつもママが対応できるとは限りません。
ママ自身が体調を崩しているかもしれません。
だから、
「嘔吐処理セットはここ」
と家族全員が分かる場所に置いておきます。
箱の外側に、
- ①手袋・マスク・エプロン
- ②ペーパーで静かに処理
- ③適切に消毒
- ④袋に入れて密閉
- ⑤手洗い
など簡単な手順を書いておくのもおすすめです。
半年に1回は中身をチェック
嘔吐物処理セットは作ったら終わりではありません。
特に次亜塩素酸ナトリウムを含む製品は、使用期限や保管方法を確認する必要があります。
厚生労働省の資料でも、嘔吐物処理セットについて次亜塩素酸ナトリウム液の使用期限を確認することが示されています。
防災用品の点検日に一緒に確認すると忘れにくくなります。
子どもの嘔吐・停電断水対策チェックリスト
嘔吐物処理用品
- □ 使い捨て手袋
- □ マスク
- □ 使い捨てエプロン
- □ ペーパータオル
- □ ビニール袋
- □ 大きめのゴミ袋
- □ 次亜塩素酸ナトリウムを含む製品
- □ 使用方法・使用期限を確認
断水対策
- □ 飲料水
- □ 衛生管理に使う水
- □ 非常用トイレ
- □ 汚れた衣類を隔離する袋
- □ ゴミを一時保管する場所を決める
停電対策
- □ 懐中電灯
- □ ランタン
- □ 予備電池
- □ 夜でも処理用品を取り出せる場所に保管
こんな症状があるときは「掃除」より子どもの状態を優先
嘔吐すると、親としては床や布団の汚れが気になってしまいます。
でも一番大切なのは、もちろん子どもの状態です。
嘔吐を繰り返す、水分が取れない、意識や反応がおかしい、けいれん、呼吸の異常、強い腹痛、血を吐くなど、明らかに普段と違う様子がある場合は、掃除よりも医療につなげることを優先します。
災害時には通常の医療機関が利用できない可能性もあるため、自治体や避難所、災害時の医療情報なども確認します。
「吐いた物を早く片付けなきゃ」と思っても、まず子どもの安全と状態を確認。
処理は、その次です。
まとめ|防災バッグに「嘔吐物処理セット」を一つ追加しよう
防災というと、大きな災害そのものへの備えに目が向きがちです。
でも実際の避難生活では、
「子どもが吐いた」
「お腹を壊した」
「服を汚した」
といった日常的なトラブルも起こります。
しかも、停電・断水していると、普段なら簡単にできる片付けが一気に難しくなります。
これだけでも、いざというときの慌て方は大きく変わります。
そして2児のママとして特におすすめしたいのが、家族みんなが置き場所を知っておくこと。
防災用品は「持っている」だけではなく、必要になった瞬間に使えることが大切です。
今日、防災用品を確認するときに、
「もし今、子どもがここで吐いたら、水を使わずにどこまで対応できる?」
と一度想像してみてください。
足りない物が見つかったら、それが次に備えるべき物です。









